
「とにかく安く作りたい」という気持ちは、多くの方が持っています。
開業したばかりで資金に余裕がない。何社も見積もりを取ったら、金額が全然違ってどれを選べばいいか分からなくなった。だから一番安いところにした。
こうした選び方で後悔する方が、実際に多くいます。
安さは大切な基準のひとつです。でも、安さだけで選ぶと「完成したホームページが使い物にならなかった」「連絡が取れなくなった」「修正ができない」といったトラブルに巻き込まれるリスクが高くなります。
今回は、安さだけで選んでしまうと何が起きるのかと、正しい選び方をお伝えします。
なぜ安いのか、その理由を考えてほしい
「安い」には理由があります。
格安の定食屋が安い理由を考えてみてください。
食材の質を落としているか、人件費を極限まで削っているか、席数を増やして回転率で稼いでいるかのどれかです。
ただ「お得に提供したい」という気持ちだけで安くなることはありません。必ず、何かのトレードオフがあります。
ホームページ制作も同じです。
本当に強みがある制作会社は、安くする必要がありません。
技術力・デザイン力・集客支援力・サポート力など、依頼主に提供できる価値があれば、それに見合った金額を設定できます。
わざわざ価格を下げなければ選んでもらえないということは、何かが不足しているサインである可能性があります。
考えられる理由はいくつかあります。
- 実績が少なく、受注のために値下げしている
- 技術力が低く、制作にかかるコストも低い
- 制作後のサポートを省くことで価格を下げている
- 副業や学生アルバイトが担当している
- 制作物の著作権やデータを手元に残して、後でコントロールしている
もちろん、「スリムな体制で効率よく動いているから安い」という会社もあります。本当に良い会社が低価格を実現していることもあります。
問題は、安さだけを見ていると、その違いが分からないことです。
安さだけで選んだときに起きる4つのリスク
リスク①:完成物のクオリティが低い
依頼したホームページが完成したとき、「こんなものを頼んだわけじゃない」と感じることがあります。
経験の浅い美容師さんに「好きにしてください」と丸投げするようなイメージです。技術や経験が足りないまま施術が終わり、仕上がりが想像と全然違う。しかも「これが精一杯です」と言われてしまう。
格安の会社の中には、テンプレートをほぼそのまま使って制作費だけを受け取るケースがあります。デザインの調整は最小限で、細かい修正は追加費用という対応をする会社も存在します。
完成前に「イメージと違う」と気づいても、修正の回数が制限されていたり、追加費用が発生したりすることがあります。
リスク②:制作後のサポートがない
ホームページは作って終わりではありません。文章を更新したい、写真を差し替えたい、ページを追加したい。こうした要望は必ず出てきます。
家電製品に例えると、「本体は格安で買えたけど、壊れたときのメーカーサポートがない」という状況に近いです。動いている間は問題ありませんが、何かあったときに自分では対処できない。
格安の会社の多くは、制作後のサポートに対応していないか、対応していても追加費用が都度発生します。問い合わせてもレスポンスが遅い、または返答がないというケースも珍しくありません。
最悪のケースでは、制作会社自体が連絡を取れなくなるということも起きています。個人や小さな会社が安価で請け負っていた場合、廃業や活動停止によって突然サポートが受けられなくなることがあります。
リスク③:契約内容が曖昧でトラブルになる
格安の会社では、契約書を交わさないケースや、契約書の内容が非常に曖昧なケースがあります。
「言った・言わない」のトラブルは、口頭の約束が基準になっているときに起きます。引越しでも外壁塗装でも、「口頭で聞いていた条件と全然違った」という話はよく聞きますが、ホームページ制作でも同じことが起きます。
「完成後の修正は無料」と口頭で言っていたのに、いざ修正を頼むと「それは追加費用です」と言われる。「作ったデータを渡してほしい」と言ったら「それは渡せない」と言われる。こうしたトラブルが実際に起きています。
ホームページのデータやドメイン(URL)の管理権限が制作会社側にある場合、乗り換えたいときに身動きが取れなくなることもあります。
リスク④:技術的な問題が後から出てくる
表面上は完成しているように見えても、内部に問題を抱えているケースがあります。
新築の家に例えると分かりやすいかもしれません。外観はきれいに仕上がっていても、断熱材が入っていない、配管の施工が雑、土台の強度が足りない。こうした問題は住んでみるまで気づかないことが多いです。
ホームページも同様に、次のような問題が後から出てくることがあります。
- セキュリティ対策がされておらず、ウイルスに感染しやすい
- SEOの設定が間違っていて検索に引っかかりにくい
- 表示速度が遅く、訪問者がすぐ離脱してしまう
- Googleのガイドラインに違反した手法を使っている
こうした問題は完成直後には気づきにくく、時間が経ってから「何かおかしい」と感じたときには、修正するために別の業者に頼み直す費用が発生します。
「安い」と「格安」は違う
ここで整理しておきたいのが、「安い」と「格安」の違いです。
衣類で考えると分かりやすいです。「ユニクロが安い」のは、素材の調達から製造・販売まで効率化しているからです。品質を犠牲にして価格を下げているわけではありません。
一方、「どこのブランドかも分からない超格安ショップの服」が安いのは、素材や縫製のコストを極端に下げているから。数回洗濯したら縫い目がほつれてきた、というのはよくある話です。
ホームページ制作も同じです。
「安い」とは、提供できる価値に対して適正な価格を設定していること。コストを下げる工夫はしているが、品質は担保されている。
「格安」とは、価格を最優先にした結果、品質やサポートを削っていること。依頼主にとってのコストは下がるが、リスクも下がっているとは限らない。
では、どう選べばいいのか
確認すべき3つのポイント
1 制作実績を必ず確認する
料理を頼む前にメニューの写真を見るのと同じです。写真がなければ、何が出てくるか分からない。制作会社でも同じで、過去にどんなホームページを作ってきたかを見せてもらいましょう。
実際のサイトのURLを確認して、デザインのクオリティだけでなく、スマートフォン表示や読み込み速度も確かめます。「実績はありません」という業者は避けましょう。実績のない相手への依頼は、あなたが練習台になるリスクがあります。
2 技術・知識のレベルを聞く
打ち合わせのときに、少し踏み込んだ質問をしてみましょう。
- 「SEO対策はどこまで対応していますか?」
- 「スマートフォン対応はどうやって確認していますか?」
- 「WordPressのバージョン管理やセキュリティ対策はどうなりますか?」
明確に答えられない業者は、技術的な知識が浅い可能性があります。「大丈夫ですよ」とだけ答えて、具体的な内容が出てこない場合も注意が必要です。
3 契約書の内容を事前に確認する
次の項目が明記されているか確認します。
- 制作範囲(何ページ、どの機能まで含まれるか)
- 修正の回数と条件
- 制作後のサポート内容と期間
- 追加費用が発生する条件
- データ・著作権の帰属先
- 支払いのタイミング
口頭での約束は後で「言った・言わない」になります。曖昧な点は必ず書面で確認しましょう。不安であれば、知り合いの経営者や士業の方に契約書を見てもらうのもひとつの方法です。
安い会社に頼んだなら、丸投げはやめる
格安の会社に依頼した場合、「あとは全部よろしく」という丸投げは避けましょう。
工事現場に例えると、施主が現場を一切見ずに「完成したら連絡して」と言うようなものです。現場監督の判断だけで進んでいくため、想定と違う仕上がりになりやすい。完成後に「こんなつもりじゃなかった」と言っても、やり直しには費用がかかります。
自分でサイトの内容を確認する。完成前に複数回チェックする。修正があれば早めに伝える。こうした関与が、完成物の質を大きく左右します。
別の制作会社にもう一度頼み直す資金的な余裕がある方は別ですが、そうでない方はなおさら、進捗を追いかける姿勢が大切です。
よくある質問
Q. 安さにこだわらなければならない場合はどうすればいいですか?
A. 予算が限られているなら、最初から「最低限必要なページだけを作る」という方針にしましょう。ページ数を絞ることで、良い業者でも費用を抑えられます。「安い会社に全部頼む」より「良い会社に必要な分だけ頼む」の方が、結果的に安くなることも多いです。
Q. 知り合いに頼めば安くなると聞きました
A. 知り合いへの依頼は費用を抑えられることがあります。ただし、「友人だから」と契約書なしで進めてしまうと、トラブルになったときに人間関係まで壊れます。知り合いへの依頼でも、内容を書面で確認することをおすすめします。
Q. クラウドソーシングで個人に頼むのはどうですか?
A. 費用を下げる手段のひとつですが、リスクも伴います。実績・評価・過去の制作物を丁寧に確認した上で選ぶこと、やり取りを文章で残すこと、段階払いで進めることを意識しましょう。
Q. 格安の業者と大手の業者の中間くらいの会社を選べばいいですか?
A. 価格帯の「中間」を選ぶのではなく、「何を重視するか」を決めてから選ぶことが大切です。集客重視なら集客の実績がある業者。制作後のサポート重視なら長期サポートを売りにしている業者。価格帯より中身で選びましょう。
まとめ
安さだけで制作会社を選ぶと、次のようなリスクがあります。
- 完成物のクオリティが期待を下回る
- 制作後のサポートが受けられない
- 契約内容が曖昧でトラブルになる
- 技術的な問題が後から出てくる
「なぜ安いのか」を確認することが、選ぶ際の最初のステップです。
制作実績・技術知識・契約内容の3点を確認し、疑問があれば事前に解消してから依頼しましょう。
安い会社に依頼するなら、丸投げせず自分でも関与する姿勢が、完成物の質を守る一番の方法です。
