
「文章も写真もロゴも、全部プロにお任せすれば大丈夫」
そう思って依頼したら、できあがったホームページはどこかで見たような文章と、いかにもストックフォトな写真ばかり。自分のお店・会社らしさが全然伝わってこない。
こういった結果になるのは、素材を何も用意せずに「全部お任せ」で進めてしまったことが原因であることが多いです。
今回は、なぜ素材の準備が必要なのか、最低限何を用意すればいいのかをお伝えします。
「全部お任せ」で起きることを想像してほしい
引越しで考えてみましょう。
引越し業者に「家の中のものを全部新居に運んでください」と頼むのは適切な依頼です。でも「家の中のものを全部好きに処分して、代わりに必要そうなものを揃えておいてください」と頼んだら、どうなるでしょうか。
業者はあなたの生活スタイルも、何が大切かも知りません。必要なものと不要なものの区別がつかない状態で動くことになります。
ホームページの文章・写真・ロゴも同じです。
制作会社はホームページを作るプロです。でも、あなたのビジネスのこと、あなたのお客さんのこと、あなたの強みのことを知っているのはあなただけです。これらを何も渡さずに「うまく作っておいて」と頼んでも、制作会社には限界があります。
素材を用意しないと起きる3つのリスク
リスク1、「どこにでもある」サイトができあがる
文章を用意しないと、制作会社が代わりに書くことになります。
でも、制作会社が書く文章はどうしても一般的なものになります。「お客様に寄り添ったサービスを提供します」「丁寧な対応を心がけています」「長年の実績と信頼」——どこかで見たことがある言葉が並びます。
なぜかというと、制作会社はあなたのビジネスを知らないからです。実際にどんな場面でお客さんに喜ばれているか、どんな苦労をして今の仕事にたどり着いたか、どんなこだわりを持って仕事をしているか。これらはあなたしか持っていない情報です。
写真も同様です。素材を用意しないと、ストックフォト(販売されている素材写真)で補われることになります。外国人モデルが笑顔でガッツポーズしている写真や、どの会社のサイトにも使われているような「よくある商談シーン」では、見た人に「ここの会社はどんな人が対応してくれるのか」が伝わりません。
飲食店のメニューで考えると分かりやすいです。料理の写真が一枚もなく、文字だけのメニューより、実際の料理の写真があるメニューの方が頼みやすいですよね。ホームページも同じで、「顔が見える」情報があるかどうかが、問い合わせのしやすさに直結します。
リスク2、制作が止まる・遅くなる
ホームページ制作は、素材が揃わないと先に進めない場面が多くあります。
写真がなければデザインが固まらない。文章がなければページの構成が決まらない。ロゴがなければヘッダーが作れない。
制作会社は複数の案件を同時に抱えています。「素材が届いたらすぐ再開します」と言っても、その時点では他の案件の対応に入っていることが多く、素材が届いてから実際に動き出すまでに時間がかかることがあります。
「早く完成させてほしいのに、なかなか連絡が来ない」という状況の多くは、依頼者側の素材が届いていないことが原因です。制作を早く進めたいなら、素材を早く渡すことが最も効果的です。
リスク3、追加費用がかかる
「全部お任せ」の場合、制作会社が文章を書いたり、写真撮影を手配したりするためのコストが発生します。
ライティング(文章作成)の外注費用は、1ページあたり数千円〜数万円が相場です。写真撮影を専門カメラマンに依頼すると、出張費込みで数万円〜十数万円かかることもあります。ロゴデザインも、1点数千円〜十数万円と幅があります。
これらを全部外注すると、ページ制作費とは別に数十万円の追加費用になるケースもあります。格安で依頼しようとしたのに、素材制作で費用がかさんで結局高くついた、という結果になることがあります。
何をどこまで準備すればいいのか
「全部自分で用意しなければいけないのか」と構える必要はありません。どこまで依頼してどこを自分で準備するかは、予算と手間を考えながら決めれば大丈夫です。
文章について
完璧な文章を用意する必要はありません。箇条書きのメモで十分です。
次のことを自分の言葉で書き出してみましょう。
- どんな仕事・サービスを提供しているか
- お客さんはどんな人が多いか
- 他の会社・お店との違いは何か
- 仕事でこだわっていることは何か
- よく聞かれる質問とその答え
うまい文章を書こうとしなくていいです。伝えたいことの「素材」を渡せば、制作会社がきれいな文章に整えてくれます。話し言葉のまま書いたものでも、制作に役立ちます。
写真について
プロのカメラマンに撮ってもらった写真が理想ですが、スマートフォンで撮った写真でも十分機能します。
最低限あるといいのは次の写真です。
- 外観(お店・事務所の外から見た写真)
- 内観(店内・作業場など)
- 商品・サービスの実際の様子
- 顔写真(代表者や担当者の写真があると信頼感が増す)
「プロが撮ったような写真でないと使えない」ということはありません。リアルな写真は、ストックフォトより信頼感を与えます。自分のお店・仕事の「本物の姿」を見せることの方が、見た人に安心感を与えます。
ロゴについて
ロゴがない場合は、最初はテキスト(文字)だけのシンプルなロゴから始めることもできます。社名・屋号をそのままホームページのロゴに使う形で、制作のスタートはできます。
ロゴをきちんと作りたい場合は、制作とは別にロゴデザインを専門家に依頼するか、格安で作れるサービス(ランサーズやクラウドワークスなど)を活用する方法があります。
「お任せ」でいい部分と、自分が準備すべき部分
すべてを自分でやる必要はありません。役割分担を意識することが大切です。
| 役割 | 依頼者がやること | 制作会社がやること |
|---|---|---|
| 文章 | 伝えたいことをメモで渡す | 読みやすい文章に整える |
| 写真 | 実際の写真を撮って渡す | トリミング・明るさ調整など |
| ロゴ | ある場合は渡す。なければ相談 | テキストロゴの作成も可 |
| デザイン | 参考サイトや好みを伝える | デザインに落とし込む |
| 構成 | 載せたい情報を伝える | ページ構成を提案する |
「素材を作ること」と「素材を渡すこと」は別です。あなたの仕事や強みに関する情報は、あなたにしか出せません。それをどんな形でもいいので渡すことが、制作会社への最大の貢献です。
よくある質問
Q. 文章が苦手で何を書けばいいか分かりません
A. うまく書こうとしなくていいです。「お客さんによく聞かれること」「仕事でこだわっていること」を箇条書きで書き出すだけで十分です。まとめることが難しければ、話したことを録音して送っていただく形でも対応できます。
Q. スマホで撮った写真でも使えますか?
A. 使えます。最近のスマートフォンのカメラは性能が高く、明るい場所で撮れていれば十分な品質です。暗すぎる・ぶれている写真は使いにくいですが、そこだけ気をつければ問題ありません。
Q. ロゴがないとホームページは作れませんか?
A. 作れます。ロゴがない場合は、社名・屋号のテキストで代用できます。ロゴを後から追加することも可能ですので、まずはテキストで進めることをおすすめすることもあります。
Q. 写真は何枚くらい用意すればいいですか?
A. 最低限、外観・内観・商品またはサービスの様子の3種類があれば制作は進められます。多いほど使える場面が増えますが、まず数枚でも渡してもらえれば大丈夫です。
Q. 素材を後から追加することはできますか?
A. できます。ただし、制作後に大きく内容を差し替えると追加費用が発生することがあります。なるべく制作前・制作途中の早い段階で渡す方が、費用と時間の節約になります。
まとめ
文章・写真・ロゴを何も用意せずに「全部お任せ」で依頼すると、次のような問題が起きやすくなります。
- どこにでもある個性のないサイトができあがる
- 素材待ちで制作が止まる・遅くなる
- 素材制作の追加費用が発生して高くつく
完璧なものを用意する必要はありません。「伝えたいことのメモ」「スマホで撮った写真」「社名のテキスト」から始めるだけで、ホームページの出来は大きく変わります。
あなたの仕事のことを一番知っているのはあなた自身です。その情報を制作会社に渡すことが、満足のいくホームページを作るための一番の近道です。
